ライター三上君の追悼記念誌出版
サザンでは、カメラマンやイラストレーター、コピーライターなど、
ここぞという場面に必要なスタッフがいます。
そのうちの一人、自称マルチライターの三上君が両親の追悼記念誌を出版することになり、
サザンがその手伝いをすることになりました。
2ヶ月の間に父と母を相次いで亡くして、悲しみの日々の中で追悼記念誌を思い立つとは…。
マルチ?ライターの鏡!!!
小さい頃のエピソードから母の遺骨の一部を海に散骨するまで、
全5章を色に因んだタイトルで表現したのはさすが。本のタイトルも「赤潮の日」。
サザンとしては仕事なのに、父の死あたりからは仕事を忘れ一気に読破。
特に人前で涙を流すことのない我々世代の男にとって、
文中の何カ所かにある「泣き」の場面は大いに共感しました。
三戸訛りが随所に出てきて、これもうれしい。
以下に掲載した短編は、三上君が書き下ろしたものです。
【悲しい嘘】
「ウチに帰りたい。そしたらリハビリに行くのもやめる。ウチに帰ってヒロと親父とずっと一緒にいてえだ」
三ヵ月近くにわたる入院中、母は毎日同じ言葉を繰り返していた。
「だったら早くよくなりな。親父も待ってるから」
僕もいつも同じ言葉を返していた。
両親ともバカがつくほど正直な人だった。その血を受け継いでいる僕も嘘が下手で、苦手だった。
でも僕は苦手なはずの嘘をついていた。
母が元気になって家に帰る可能性はほとんどなかった。
母は末期癌で、終末期に入っていた。
そして何より、家で待っているはずの親父はもういない。
親父は急死したのだ。
〝本当のことが言えなくてごめんよ、母ちゃん〟
僕は心の中で母にあやまりながら、笑顔をつくり続けていた。
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